写真集HIDSBY’s Photographs

『樹木派』『アジア太平洋戦争遺跡遺品①②③④⑤⑥⑦』、さらに『田園の憂鬱』が2011年5月完結、『充電式日録』『或日或処』『東京TOKYO』と、てんこ盛り過ぎ!

七夕空襲の記録 千葉市<アジア太平洋戦争⑦-10>  

昨日、叔母(わたしの母の妹)が亡くなりました。この手紙は、昨年叔母の部屋から見つかった1945年7月7日「千葉市七夕空襲」(7/6未明からの空襲)の記録です。その空襲で、20歳の叔母が体験した母親(わたしの祖母)の最期を懸命に記録した、大連の姉への手紙です。戦争末期で、郵便が途絶したために送られずに部屋の片隅に72年間眠っていました。とても長いので抄出となります。以下・・・



皆さんお元気ですか?○ちゃんも△△ちゃんも大きくなった事でせうね。◇◇ちゃんにも是非一度逢いたいですね。
電報でお父さんからのお手紙が着いたでせうが、お母さんが七月六日の空襲でなくなりました。
六日に警報が出まして何時もは私は空襲でも起きないのですがその日ばかりはお母さんからもつよく言われたせいもあり起きて服装をととのえ荷物を廊下まで持ち出して居りました。その内タンボの向ふの変電所あたりが火になったと思ふ内に家のまはりの田もはたけも一面火の海になってしまひました。家は待避壕が不完全で使用できないので家のすみに四人かたまってました。落下の音がサーッときこへると地面にふせて居りました。××さんの家も皆 火柱が立ちました。その内に家の風呂場に爆弾が落ちてもへはじめましたが幸ひにも家のかたまり四軒でもへはじめたのは私達の家だけだったので前やおとなりの人も手伝って消して居てくれますので私と母とで廊下の荷物をみな池のそばまではこび出しました。全部はこび終わった時に母が□□ちゃんのそのリュックサックを向いの◆◆さんのはたけまで持って来なさいと言ひ次で私もリュックサックをそちらへ持って行った時です。たしかその時すごい落下音と一緒に地ひびきがした様にも思へるし落下音もなにもしなかった様でもあるしはっきりしないんですが 何しろ何時も一緒にかたまった三人がお母さん一人になった時です。急に池のそばで「□□ちゃんのお母さんがやられたよ、やられたよ」と大きな声がしましたのでおどろいて行ってみますと庭と池の間の所に家の方へ頭をむけてあほむけに倒れて居ります。お母さんはでも元気でおなかと足だと申しますのでみましたら右の横腹と右足をやられてます。すぐに止血と消毒をすればいいんでせうけど何しろ急だし あたりは火の海その上たへずサーッと言ふ落下の音はするし ただオロオロするばかりで「お母さん大丈夫?大丈夫?」ばかり言ってました。母は元気で焼夷弾のやけどらしく「ヒリヒリするからゴマ油でもぬっておけば大丈夫だよ、油のきれを持って来てくれ」と言ひますので布を持って行きますとそれでお腹のきづを自分でおさへて「□□ちゃんは大丈夫かい?お父さんは?家の火は」と聞きます。□□ちゃんは◆◆さんの家にいるしお父さんは近所の人と一緒にけしてるから「もう大部分消へたよ」と言ひますとNの方は××さんはと聞きますので「どっちももへてるよ」といふ風にとても元気です。<中略>その内に胸がくるしいと言ってそばにあった細い竹をつかみました。そして「私はもう死んでもいい」などと言ふのです。「そんな心細い事は言わないでよ」と私がいふとそれには返事もしないで目をつむってます。そして後は胸の事はいはず足の事ばかり言って私が大丈夫かいときくのに大丈夫大丈夫と答へました。その内大雨が降ってきましたので荷物を家の中へはこびましたがお母さんはうごかせないので傘をさしかけて居りました。その内敵機も去り家の火も消えたので隣組の人がタンカで大学(現千葉大付属病院)まではこんでくれる事になりましたが まだ大学までの家が燃へているので一応家の中へ入れました<中略・大学病院で>室に入ってみますとその下級生が「まあこの方Hさんのお母さんならよく知っているんだけどあまりに顔がかわってしまったのでわからなかったわ、この室は一番おもい人の所よ、さっき診察のときにみたけど足はえぐられて骨がみえてるのよ、でも足よりおなかがいけないんですって」と言いました。お母さんはうすめをあけて口を少しあけてすいこむ息ばかりではくいきがないんです。ハッハッとくるしさうにいきをしています。耳に口をつけてお母さんお母さんとよんでも聞へないのです。そのいきも私が行ってから二三分でなくなってしまいました。本当に悪夢の様です。
病院のベットでしかも多くのうめき声のなかで最期の水ももらへずに又こんなに一杯の子どもがいるのにたった私とお父さんと下級生の人にだけみもられてドロと血にまみれたモンペにつつまれてぬれたフトンの上に死んで行きました(「七月七日九時ごろ」)。
                        七月三十日
<以下略。全14枚の手紙となっています>

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